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2026.5.11

「日本の屋根は、我々が守る」──全国から100名を超える屋根屋さんが、ひとつ屋根の下に集まった日

あなたの街の家を守っている屋根屋さんが、普段どんなことを考えているか、どんな想いで仕事をしているか、知っていますか?

「日本の屋根は、我々が守るぞ」──

2026年4月17日、東京都内のある会場で、110名を超える屋根屋さんが、ひとつの声を揃えました。

午後1時から夜8時までの7時間。瓦の職人も、板金の職人も、老舗5代目も、創業3年の若手社長も。北海道から鹿児島まで、全国の屋根屋さん約80社・110名超が、ひとつの場所に集まった一日でした。

訪問販売を装った悪徳業者のニュースが絶えない今、施主にとって「本物の屋根屋さん」を見分けるのは、年々難しくなっています。
だからこそ、地元で真面目に屋根と向き合う屋根屋さんたちが、いま何を考え、何に取り組んでいるのか。この記事で、できる限り具体的にお届けします。

屋根工事は「よくわからないけど高額な出費」──だからこそ、本物の屋根屋さんの力が必要

家の屋根工事は、人生で何度もするものではありません。専門用語も多く、適正価格もわからないまま依頼することになる、"よくわからない出費"です。

だからつい、「3社に相見積もりをとって、一番安いところに頼む」という選び方になりがちです。

これは、危ないやり方です。

屋根の上は、お施主さま(=家に住んでいる人)からは見えません。実際にどういう状況になっているかが分かりにくく、業者さんの意見を信じないといけません。工事中も、見えない場所で手を抜くことも、不可能ではありません。下地の防水紙を省略する、釘の本数を減らす、下塗りを飛ばす──そうした手抜きは、1〜5年後に雨漏りにつながります。

一方で、お施主さまからすると、「よくわからないので、とりあえず安く済ませたい」というのが本音です。

「どうすれば、お客様に価格の根拠を伝えられるか」 「どうすれば、訪問販売の悪徳業者から一般の方と家を守れるか」 「どうすれば、お施主さまが安心して屋根を任せられる業界をつくれるか」──そんな問いを、全国の屋根屋さんは抱えています。

悪徳業者の存在以外にも、中東情勢の悪化によるナフサショック、職人不足と技能の承継の難しさ……問題は山ほどあります。

今回、屋根業界向けSaaS「いえサプリ」リフォーム詐欺啓発メディア(本メディア)「やねプロ」を展開するハウスケープ株式会社が事務局となり、株式会社MURATA様、株式会社ウチノ板金様の後援のもと、「屋根屋がやる屋根屋の為の屋根屋交流会」が開催されました。

屋根屋交流会の様子

当日の議論の一部

会場で交わされた議論を、消費者の目線で整理すると、3つの大切な企業努力にたどり着きます。これは、あなたが本物の屋根屋さんに出会うときの、見極めポイントにもなります。

努力① ── 「なぜ、その価格なのか」を、説明できる

屋根材や外壁材の主原料であるナフサ(石油から精製される基礎原料)は、中東情勢の不安定化を背景に、世界的に価格が高止まりしています。それ以外にも、資材費・人件費は慢性的に上昇し、屋根工事の費用にも影響しています。

【建設費の高騰(出所:(一社)日本建設業連合会)】

建設資材高騰・労務費の上昇等の現状(2026年3月版)
建設技能労働者の労務単価の上昇(2026年2月更新版)

このときに問われるのは、屋根屋さんが「なぜ、いま、この価格なのか」を、お施主さまに伝わるように説明できるかどうか、です。

材料費が上がっている時代に、異様に安い見積もりを出してくる業者には、何か理由があると考えてください。逆に、「屋根工事一式⚪︎⚪︎円」という見積もりが当たり前になっている業界で、価格の根拠を丁寧に説明してくれる屋根屋さんは、それだけで信頼に値します。

努力② ── お客様を「待たせない」「放置しない」

「問い合わせから3日以内に現場調査に向かう」「見積もりを早く提示する」──当日のセッションで何度も繰り返されたフレーズです。

実は、現地調査や見積もりには、意外と時間がかかるのです。
屋根工事業者の多くは、社員のほとんどが職人さんの会社です。特に梅雨や台風の後は、雨漏りなど緊急性の高い工事を同時に抱えていることが多く、すぐに日程の調整ができなかったりします。
また、見積もりのためには屋根の正確な面積計算や、雨漏りの原因の究明が必要不可欠です。雨水を排水する屋根には斜面がほとんどなので、面積計算はとても複雑な作業です。また、雨漏りは結果であり、原因は自宅によってさまざまなので、きちんと追求しないと分かりません。

積算のイメージ

ある屋根屋さんは「昔は初動が遅かった。見積が遅かった。そうすると不安なお施主さまを待たせてしまう。いかに早く対応するかに意識を変えてから、大きく変わった」と振り返りました。住宅のことが心配なお施主さまを、長く不安なまま放置しない、ということです。

別の登壇企業は、「いえサプリ」で案件を一元管理し、「放置ゼロ」を徹底していると話しました。たくさんの問い合わせがある中で、一つの不安も取りこぼさない。地味に見える活動の徹底が、お施主さまにとっては大きな違いになるはずです。

「即対応」「放置ゼロ」「丁寧な説明」。派手ではないけれど、お施主さまにとってこれ以上頼もしいものはありません。

努力③ ── 訪問販売の悪徳業者と、見分けがつく存在になる

近年、訪問販売を装った悪徳業者の被害相談が、全国の消費者センターに後を絶ちません。

  • 「近くで工事していたら、屋根が浮いているのが見えた」と訪問営業され、不要な工事を迫られた

  • 「今なら足場代無料」「キャンペーン期間中」と急がされ、相場の数倍の見積もりを提示された

  • 契約後にクーリングオフを申し出たら、すでに工事に着手されていた

これらは、ほとんどすべてが「屋根屋」を名乗る、屋根屋ではない悪徳業者の手口です。

加えてAIの登場で、悪徳業者の手口は巧妙化しています。AI製の見栄えのよいホームページ、AIが書いたもっともらしい営業文句、SNS上の「屋根屋っぽい」アカウント。一般の方が本物と偽物を見分けるのが、年々難しくなっています。

当日のAIセッションで登壇したハウスケープ株式会社代表・明正剛典は、「いま検索の仕組みが変わりつつある。GoogleではなくAIに聞く人が増え、AIが『おすすめの会社』を答える時代になっている」と語りました。

だからこそ、本物の屋根屋さんたちは、AIに正しく認識される情報発信に動き始めています。メディア掲載、業界交流会への参加、ホームページでの丁寧な発信。地道な積み重ねが、一般の方が本物を見つけやすい業界をつくります。

屋根屋交流会の様子

瓦と板金、"同じ屋根屋"として手を取り合う

ここまで話してきた「屋根屋さん」は、実は大きく「瓦屋さん」と「板金屋さん」に分かれます。文化も歴史も技術も違い、業界団体も、流通も、専門誌も別系統。同じく屋根の上で屋根工事をしているのに、経営者同士が一同に会して「屋根業界」の未来を語る場は、ほとんど存在しませんでした。

しかしこの日、会場には両方の経営者・職人が肩を並べていました。

株式会社ディートレーディング 大源茂人氏

「板金屋×瓦屋=屋根屋。道具や扱う商品は違えど、全員が屋根屋であることは間違いないという事実を、再確認しました。屋根業界として本当に必要な会(集まり)が、初めて形となった歴史的なイベントだったと思います」

株式会社屋根山壱 山崎一弘氏
本当に歴史が動いた瞬間だと思います。瓦屋と板金屋がこのような規模で交流したのは、初めてではないでしょうか」

屋根業界の未来のために、これまでの垣根を越えて手を取り合う。そんな光景が、会場のあちこちで見られた一日でした。

瓦VS板金 特別ディベート「ぶっちゃけ、自宅に使うならどっち?」

当日特に印象的だったのは、「瓦と板金のディベート」の時間でした。

瓦チームと板金チームに分かれて、それぞれが「自宅に使うべき理由」を本音で主張。
判定人には、屋根材メーカーの株式会社タニタハウジングウェア、屋根材メーカーの株式会社ディートレーディング、業界新聞の株式会社日本屋根経済新聞社の代表者にお願いしました。

ディベートの本質は、勝敗ではありません。これまで議論する場がなかった瓦屋さんと板金屋さんが、お互いの長所を理解していることが伝わってきた時間でした。「自分の家に使うとしたら、こんな条件で選ぶ」「あの状況なら相手側のほうが優れている」──そう正直に語り合える関係が、お施主さまの安心につながります。

ちなみに「うちの屋根、瓦と板金どっちがいい?」と迷ったときの答えは、地域の気候・建物の構造・ライフプラン・予算・デザインの好みで変わります。親身になってくれる屋根屋さんなら、両方のメリット・デメリットを率直に説明してくれます。

ディベートの様子

「日本の屋根を守るぞ」──唱和で閉じた一日

閉会の時間、参加者全員が立ち上がり、「日本の屋根は我々が守るぞ」と声を揃えました。

北海道の屋根屋さんも、九州の屋根屋さんも。60代のベテランも、20代の若手も。瓦も板金も。参加者も運営も。

私たちハウスケープも、屋根業界の外側からテクノロジーで支える立場として、屋根業界のためにできることがあると信じています。
日本の景観が守られていくこと・発展していくことを目指し、職人さんがお客様と技術に注力できる時間を増やすこと、一般の方に正しい情報を届けることを続けていきます。


参加者一覧

当日、自社の知見を共有してくれた登壇者の皆さま

自社の取り組み・失敗・学びを、惜しみなく会場で語ってくれた登壇者の方々をご紹介します。

トークセッション①「選ばれる会社は、どうやって仕事を受注しているのか」

日本いぶし瓦(株) 野村様、(株)hagaban 羽賀様
(株)植田板金店  山本様
(株)名倉ルーフ  名倉様、藤井製瓦工業(株) 藤井様

トークセッション②「人が集まり、育つ会社は、何が違うのか」

(株)R-CRAFT 塚原様、(株)いらか 成田様
(有)白石工業 白石様、(株)川畑瓦工業 川畑様

AIセッション「AI×集客の未来──差別化が通じなくなる時代に」

(株)石川商店 石川様

瓦VS板金 特別ディベート「ぶっちゃけ、自宅に使うならどっち?」

懇親会

参加者

東日本(北海道〜中部)

北海道

岩手県

秋田県

  • 株式会社新ルーフ工業(秋田市)

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

福井県

長野県

中部〜近畿

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

京都府

大阪府

中国・四国・九州

鳥取県

岡山県

広島県

徳島県

香川県

  • 岩里製瓦所

愛媛県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

宮崎県

鹿児島県

※ 表記は敬称略。市区町村の記載はHP等で公表されている企業のみ付記しています。会社名のリンクは、当日のアンケートにてご回答いただいたホームページURLに基づいています。誤り・追記がある場合は、やねプロ編集部までご一報ください。


おわりに

本物の屋根屋さんは、全国にたくさんいます。

訪問販売で不安なことを言われたら、一度立ち止まって、地元の屋根屋さんに相談してみてください。やねプロでは、信頼できる屋根屋さんの探し方・選び方を日々発信しています。

急な雨漏りや、突然の訪問販売で戸惑う前に、一度地元の屋根屋さんに屋根の点検を依頼してみることをお勧めします。